嬉しい事に私共が在籍していた
東京バレエ団が
来年2/17水曜日にこちら兵庫西宮の県立芸術文化センター大ホールにて「白鳥の湖」の公演が行われます。
近年では
世界各国のバレエ団が様々な演出、振付け、構成で上演されています。
東京バレエ団は旧ボリショイ劇場版である定評のあるアレクサンドル.ゴールスキー版(マリウス.プティパの弟子)に基づいて長年に渡り公演を行って来ました。
ですが
今回は私の大先輩である斎藤有佳理さんが新芸術監督の元、劇的なブルメイステル版を上演される予定。
「ウラジーミル・ブルメイステルは古典バレエの様式に従ったプティパ=イワーノフ版に依拠するのでは無く、可能な限りチャイコフスキーの原曲に立ち返ろうと考えた。「ダンサーは舞台の上で登場人物の人生を生きなければならない。舞踊にとって人生を表現し、人物の感情や心的体験ん開示する。」チャイコフスキーの音楽はこれを実現するだけのドラマトゥルギーを十全に備えていた。」
(NBS News Vol.344 赤尾雄人 古典バレエ研究より引用)
私も早速、1995年6月に来日しロシア音楽劇場のブルメイステル版の「白鳥の湖」がTVで放映され、ずーっと昔の20年前!(驚き)録画したビデオテープが家にありましたので観てみました。
VHS……かなり古いですね(笑)若い世代はきっと知らないでしょうね。
プティパ=イワーノフ版、この演出だとあらすじを知らないとなぜ幕が上がってすぐ王子の誕生日なのか
なぜ白鳥が登場するのか
なぜ悪魔が出てきて手を振るのかということがなかなか理解できませんがブルメイステル版では筋道を分かりやすく明確に立ててあります。
最初のプロローグでは
悪魔ロットバルトがオデットを白鳥に変えてしまう場面が冒頭に加えられてとても分かりやすい。
筋を明確にし劇的に進行させるために第3幕では単に商品として扱われていた民族舞踊を悪魔手下にし惑わせ、娘であるオディールを踊りの合間に出現させている。
エピローグではオデットが人間に戻れハッピーエンドに終わるのも物語として分かりやすくとても良かったです。
第1幕に
プティパ=イワーノフ版では第3幕の王子と黒鳥オディールのグランパドドゥの第5曲のアントレとアダージョが
王子と宮廷の女官によって踊られていたり、
第3幕のグランパドドゥでは
ジョージ・バランシン振付である作品「チャイコフスキーのパドドゥ」の曲が使われ振付も素晴らしいです。オディールのバリエーションはプティパ=イワーノフ版がメジャーですがブルメイステル版も素敵です。
YouTubeでロシアのバレリーナ 「スヴェトラーナ.ザハロア」とイタリアの貴公子「ロベルト・ボッレ」のスカラ座の白鳥の全幕があります。
ここ最近巷ではコンクールが多く主にエトワールのバリエーション(幕もので芯の方が踊る踊り)ばかり踊る傾向が多い中、バレエをされている若い世代の方や、バレエの世界は未知の世の人達にも物語のあるドラマティックな全幕もののバレエを是非とも御覧になって頂きたいと強く思います!
私共も今回を機に沢山の生徒さん達、ご父兄の方々と一緒に観に行く予定で今からとても楽しみです!